胡粉とは?日本画で使われる白色顔料と胡粉色
胡粉(ごふん)は、日本画や伝統的な彩色で使われる代表的な白色顔料です。現在一般的な胡粉は、牡蠣などの貝殻を粉砕・精製して作られ、主成分は炭酸カルシウムです。塗り方や厚み、下地、膠の量によって質感や明るさが変わります。
はじめて読む方へ|まず知っておきたい基本
自然物・植物・素材などの色は、照明、表面、状態、個体差によって見え方が変わります。この記事では「実物が常に一つのHEX値になる」とは考えず、色名・見え方・文化的な表現を分けて説明します。
胡粉(ごふん)は、日本画や伝統的な彩色で使われる代表的な白色顔料です。現在一般的な胡粉は、牡蠣などの貝殻を粉砕・精製して作られ、主成分は炭酸カルシウムです。
胡粉とは?
東京文化財研究所は、江戸時代の絵画で使われる白色材料として胡粉が主流であり、貝殻、とくに牡蠣殻を粉砕・精製した炭酸カルシウム系顔料と説明しています。
山種美術館も、現在使われる高品質な胡粉は天然のイタボ牡蠣の貝殻から製造され、膠を接着材として使うと説明しています。
胡粉はどんな白?
胡粉は、微粒子でなめらかな、比較的マットな白色を作ります。単純な「真っ白」だけではなく、塗り方や厚み、下地、膠の量によって質感や明るさが変わります。
デジタル上の白と異なり、実物の胡粉は顔料粒子と光の反射によって白く見えます。
胡粉は何から作る?
武蔵野美術大学は、胡粉を牡蠣・蛤・ほたてなどの貝殻から作る白色絵具と説明しています。主成分は炭酸カルシウムです。
伝統的な製造では、貝殻を長期間風化させた後、粉砕・水簸などの工程で細かな白色顔料へ仕上げます。
胡粉だけでは紙に定着しない
胡粉そのものには接着性がないため、日本画では膠液を加えて紙や絹へ定着させます。
これは岩絵具と同様に、顔料と展色剤を組み合わせて使う日本画材料の特徴です。
昔の「胡粉」は鉛白だった?
現在の胡粉は貝殻由来ですが、「胡粉」という言葉は歴史上つねに同じ材料だけを指したわけではありません。
山種美術館は、胡粉はもともと奈良時代に中国から輸入された鉛白を指していたが、室町時代以降は牡蠣殻由来の胡粉が一般的になったと説明しています。
東京文化財研究所も、白土・鉛白・胡粉を主要な白色材料として挙げ、絵画の白色顔料として胡粉が主流になるのは室町時代以降と考えられるとしています。
胡粉は白だけに使う?
胡粉は白色としてだけでなく、他の色と混ぜて明るくしたり、下地や盛り上げに使ったり、水干絵具の体質顔料として使われたりします。
武蔵野美術大学は、墨との混色を「具墨」、朱との混色を「朱の具」と呼ぶ例を紹介しています。
胡粉と岩絵具の違い
天然岩絵具は鉱物を砕いて作るものが中心ですが、胡粉は貝殻由来の炭酸カルシウム系顔料です。どちらも通常は膠などと混ぜて使用します。
日本画では、素材の違う顔料を組み合わせることで、白・青・緑・赤など多様な発色と質感を作ります。
まとめ|胡粉は貝殻から作られる日本画の白
胡粉は、牡蠣などの貝殻を原料とする白色顔料で、主成分は炭酸カルシウムです。膠と混ぜて紙や絹へ定着させ、日本画の白色、混色、下地など幅広く使われます。
また、歴史上の「胡粉」は現在と同じ材料だけを意味していたわけではなく、鉛白との関係も含めて理解する必要があります。作品の年代や技法を調べるときは、名称だけで材料を決めず、文化財科学の分析結果や制作技法の記録と合わせて確認するのが適切です。
主な参考資料
出典・確認情報
この記事で紹介している関連色
本文で取り上げている登録色をまとめました。実物の色には幅があるため、一つの色に固定せず見比べられる形で紹介します。








