納谷嘉信
Yoshinobu Nayatani
大阪電気通信大学 名誉教授/日本色彩学会 元会長
公開論文・研究資料を色しるべ側で整理した研究環境です。研究者本人による監修・推薦・公式見解を示すものではありません。論文の結果と、色しるべ側の分析・可視化は区別して扱います。
研究者プロフィール
納谷嘉信は、測色、色順応、対応色予測、色の見えモデル、色再現などの研究で知られる色彩科学者です。CIE TC 1-32 Prediction of Corresponding Coloursでは議長を務め、異なる照明・順応条件間の対応色予測法の整理に関与しました。日本色彩学会でも会長を務め、2009年に逝去しています。
研究テーマ
公開研究から見える主な研究軸
・色順応:照明条件が変わったときの色の見えの変化
・対応色:異なる照明条件間で同じ色の見えを与える色の対応
・色の見えモデル:測色値から知覚属性を扱うモデル化
・知覚明度:Helmholtz-Kohlrausch効果を含む明るさ・明度の扱い
・測色と色再現:CIELUV等の測色空間と知覚的色体系の接続
研究方法・実験条件を見る
・異なる照明・順応条件間の対応色予測
・von Kries型順応変換を含む色順応モデル
・三刺激値・色度・照度・背景条件を用いた数理モデル
・知覚明度・Helmholtz-Kohlrausch効果のモデル化
・CIELUV等の測色空間と知覚的Hue-Tone体系の接続
色しるべでは、この研究をどう使うか
色しるべでは、納谷研究を『測色値そのもの』と『順応後の色の見え』を分けて考え、異なる照明条件間でどの色が対応するか、知覚明度やToneをどう扱うかというResearcher Lensとして使います。内川Lensが色恒常性・色カテゴリー、山内Lensが観察者個人差・等色関数を強く扱うのに対し、納谷Lensでは色順応変換、対応色、色の見えモデルを補強します。
主要論文・研究資料
CIE TC 1-32 (Chair: Y. Nayatani) / 1994 / CIE 109-1994
出典を確認 →Yoshinobu Nayatani; Hiroaki Sobagaki; Kotaro Takahama / 1981 / DOI 10.1002/col.5080060308
出典を確認 →Yoshinobu Nayatani; Yutaka Gomi; Masaaki Kamei; Hiroaki Sobagaki; Kenjiro Hashimoto / 1992 / DOI 10.1002/col.5080170210
出典を確認 →Yoshinobu Nayatani; Hideki Sakai / 2007 / DOI 10.1002/col.20292
出典を確認 →Yoshinobu Nayatani; Hideki Sakai / 2008 / DOI 10.1002/col.20387
出典を確認 →研究条件を横断比較する
論文タイトルだけでなく、何を問い、何を刺激にし、どんな条件を比較し、どこまで言えるのかを並べて確認します。
| 年 | 研究 | 研究課題 | 刺激・観察者 | 操作条件 | 主要結果 | 色しるべでの利用 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1994 | CIE 109-1994|A method of predicting corresponding colours under different chromatic and illuminance adaptations Source → | 異なる照明色度・照度・背景条件の間で、同じ色の見えを与える対応色をどのように予測できるか。 | 物体色サンプルを想定し、試験照明と参照照明の色度・照度、背景の輝度率、三刺激値を入力する対応色予測手順。 CIE TC 1-32が既存の対応色実験とモデルを整理した技術報告。単一の新規被験者実験ではない。 |
物体色を対象とし、異なる順応照明・照度条件間の非対称色合わせを対応色として扱う。適用条件と計算手順を明示。 | 異なる照明・順応条件間で同じ色の見えを与える対応色を三刺激値の組として予測する方法を整理し、色順応変換として実装可能な手順を示す。 | Illuminant LensとSpectral Labをつなぎ、『同じXYZ』と『異なる照明下で同じ見え』は別問題であることを示す基礎Evidence。将来のCorresponding Color Labの基準Source。 |
| 1981 | Nayatani et al. 1981|Formulation of a Nonlinear Model of Chromatic Adaptation Source → | 中灰色背景への順応を仮定したとき、色順応効果をvon Kries型変換だけでなく非線形性を含めてどう表現できるか。 | 中灰色背景と色刺激を想定し、絶対三刺激値、順応レベル、D65とAなど異なる照明条件を用いるモデル。 モデル定式化と既存実験結果との比較。新規被験者群の報告を主目的とする論文ではない。 |
修正von Kries変換の後に非線形変換を置き、視覚機構ごとの有効順応レベルやノイズ成分を考慮。D65/A間の色順応効果やHunt effectと比較。 | 線形な錐体スケーリングだけではなく、順応レベル依存の非線形性を含む色順応モデルを提示し、複数の色順応現象との対応を検討した。 | Observation Conditions Labで、照明条件を単なる色温度ラベルとして扱う段階と、順応モデルを適用する段階を分けるためのEvidence。色温度だけでHEXを変換しない設計根拠にも接続。 |
| 1992 | Nayatani et al. 1992|Perceived lightness of chromatic object colors including highly saturated colors Source → | 高彩度物体色を含め、同じ知覚明度を与える色のY値はどのように変化し、Helmholtz-Kohlrausch効果をどうモデル化できるか。 | 複数の高彩度物体色と既存の知覚明度実験データ。Munsell Valueや色度域をまたぐL/Y比を対象。 Wyszecki、およびSanders & Wyszeckiの既存実験データをモデル解析。原実験の観察者条件は各一次資料参照。 |
同一知覚明度を与える色刺激の輝度比L/Yを推定し、色度域全体で等L/Y線を予測。スペクトル色への外挿も比較。 | 高彩度色では測光的なYだけでは知覚明度を十分に表せないことを扱い、Helmholtz-Kohlrausch効果を含む知覚明度モデルを拡張した。 | Spectral LabのY値と『知覚的な明るさ・明度』を同一視しないためのEvidence。測色値→知覚属性へ進む際の境界として利用。 |
| 2007 | Nayatani & Sakai 2007|Proposal of a new concept for color-appearance modeling Source → | 従来の色の見えモデルが扱う『異なる順応条件間の見えの対応』に加え、物体色の知覚明度・白黒感・chromaを統合的に扱えるか。 | 物体色の色の見え属性とTone概念。従来CAMと、新しく提案するIntegrated CAMの概念比較。 モデル概念・定式化の提案論文。単一の新規被験者実験を中心とするものではない。 |
Helmholtz-Kohlrausch効果をVCC法で考慮し、参照照明下で等知覚明度・等白黒感・等知覚chromaとなるToneを扱う。 | 従来CAMを対応色予測型モデルとして位置づけ、新たに知覚明度等を統合するIntegrated CAMという考え方を提案した。 | 色しるべで『対応色予測』と『知覚属性を含む色の見えモデル』を分けて整理する中核Evidence。将来のColor Appearance Model比較ツールへ接続。 |
| 2008 | Nayatani & Sakai 2008|An integrated color-appearance model using CIELUV and its applications Source → | CIELUV測色空間と、知覚的なHue-Tone色体系を統合し、測色工学と色彩デザインの双方で使える色の見えモデルを構成できるか。 | CIELUV空間上の色と、知覚的Hue-Tone体系、色組み合わせ例。 数理モデルと応用例の提示。単一の新規観察者実験を主目的とする論文ではない。 |
Integrated CAMをCIELUVで構成し、知覚Hue・Tone・chromaを互いに独立した属性として扱う。 | In-CAM(CIELUV)により測色空間と知覚Hue-Tone体系を接続し、測色工学と色彩デザインの双方への応用可能性を提示した。 | 色しるべの測色ツールと配色・Tone体系を接続する際のResearcher Lens。測色値からデザイン判断へ飛躍するのではなく、中間に知覚モデルを置く考え方を補強。 |
この研究レンズにつながる色しるべ
この研究レンズを使うときの注意
このResearcher Lensは公開論文・CIE技術報告・学会資料を色しるべ側で整理したものです。本人の監修・推薦を示すものではありません。CIE 109-1994の方法はCIE勧告そのものではなく、適用条件があります。各色の見えモデルは特定の順応条件・背景・刺激・測色条件に依存するため、現在のCIECAM16等と同一視しません。








